ケイイチのシンプル生活

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ノコギリのお話

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日本の 鋸(のこぎり)はとてもユニークな事をご存知でしょうか? 日本以外の国では押して切断するのに対し、日本の鋸だけは引いて使います。 正確にはイラン、イラク、トルコ辺りでも引いて使うようですが、これはおそらくメソポタミア文明の頃、まだ銅製の道具しかなかった時代の風習が残ってるからかも。銅製は脆いので、押して引くとたわみます。だから最初のノコギリは引いて使ったのではないでしょうか? これらの国と日本の鋸とでは、道具としての歴史が根本的に違います。

 

日本は中国からいろんな文化を吸収してきましたよね。恐らく中国にあった鋸も平安時代には伝来していたはずです。 でも日本には道具として定着しなかった。 長い間日本人は鋸を必要としなかったのです。法隆寺東大寺奈良時代の全ての建築物は鋸なしで作ってます。 ではどうやって丸太を加工して板を作ったかというと、丸太に楔(くさび)を打ち込んで割って板を作ったらしいです。今でもこの製法は宮大工の伝統技術として継承されてます。(普段は使わないでしょうが)   日本は森林大国で、良質の杉、檜が豊富に取れた為に、このような技法で十分だったらしいです。

 

日本に鋸が登場したのは、鎌倉時代くらいかららしいです。この時代はすでに良質の木材が枯渇した為、鋸で板割りするようになったそうな。 奈良の東大寺天平5年(733年)に建立されたそうですが、最初の東大寺の木材は地元の吉野辺りの木材を使ったらしいです。その当時はまだ吉野辺りにも、樹齢1000年を超える檜の原生林があったという事でしょう。その後火災にあった東大寺を再建する際(1195年)には、すでに日本の国土に檜の原生林はなく、日本中の山を探し回ってようやく木材を調達したそうです。

 

杉や檜は今でも植林されてますが、大きな建造物を作る為に必要な檜は樹齢1000年を超えるものがある原生林からしか取れないそうです。法隆寺の再建の際は、台湾から木材を調達したそうです。 日本人は縄文時代までは森を大切にしたそうですが、農業の普及とともに木材の乱獲が進み、古事記には森を大切にするような戒めまで書かれてるそうです。伊勢神宮が20年に1回は技術伝承の為に建て替えするのも、ある意味で森を大切にするよう子孫に伝える目的があるのかもしれません。

 

さて鎌倉時代からようやく登場した日本の鋸ですが、この時点では日本の鍛冶屋さんの技術は高く、薄く作られ、鋭利なアサリがつけられているのが特徴で、今では世界中でプロの木工家に広く使われてます。  アメリカの木工道具サイトにはJapanese Toolというのが必ずありますが、他の国の道具がまとめて売られているものはありません。(ドイツの鉋やスイスナイフなど例外は少しありますが。)

 

木工作業時, 電動工具は危なく音もうるさいので神経使いますが、手工具で作業を始めるととても気持ちが落ち着きます。木の匂いや、削っている感覚は人の五感に響くのかもしれませんね。 あなたが鋸を買う時、世界で一番いい道具を選んでるということを知ってると、買い物が数倍楽しくなりますよ。